FROM,中島
「あのぉ、まだお会いして2回目でこんな事お願いするのどうかと思うんですけど、お願いします!」
「僕に3万円だけ貸して頂けませんでしょうか!?」
インターホンが鳴って、扉を開けるとそこには膝と手のひらを地べたに着けた、人の好さそうなお兄さんが。
まっすぐに僕を見上げ、そう言うのです。
それは数日前に出会った業者さんでした
そんな出来事が起こる数日前、自宅でのんびり映画を見ていると、誰かが僕の部屋のインターホンを鳴らしました。
普段訪問者もいないので何事かと出てみると、「私、○○株式会社の○○と申します。事前にハガキでご案内差し上げてた者です。」
と、何やら検査キットのようなものを持った作業服を羽織ったお兄さんが立っていました。
聞けば、数日前にニッショーを通して彼らが委託されている定期メンテナンスに関する書類を送っていて、そこにこの日のこの時間に来るよ~といった旨が記載されていた
というので、当時郵便受けなどめったに空けなかった僕はそれをすんなりと受け入れてしまったのです。
お風呂と、キッチンの換気扇を綿棒のようなものでこちょこちょして、ジップロックに入れ、更新料の1万円を支払いを促されました。
お金をおろす間、そのお兄さんはニコニコしながら、身の上話に趣味の話、はがきを確認してないのに対応してくれた感謝を僕に投げかけました。
感じのいいお兄さんで家に戻ってからも、コーヒーを出してしばしの談笑を楽しみました。
学生の一人暮らしで新たな友達ができたような気持でその業者さんを見送りました。
その、お兄さんが今、目の前で地面に膝と手を付けて僕にお願いしていたのです。
お兄さんの言い訳
なんでも、あの日の点検の帰りの車内で上司に一件当たりに時間をかけすぎだと叱られたそうです。
でも、彼はそれに反論したらしく、お客さんに対して丁寧に接することはそんなに悪い事なのか、というところから
意見の相違が行くとことまで行ってしまい、そのまま解雇されてしまったとの事。
身勝手な言動で自分だけならまだしも、こうして僕の元へ来て催促するなどの迷惑をかけていることを彼は痛く反省しており
もう頼る宛が無く、残金も底をつき、携帯も止められ、もうご飯もしばらく食べていないと、蚊の鳴くような声で今までの
経緯を説明してくれた。
先日あったばかりとは言え、彼が嘘をついているようには見えなかったのです。
「都会は怖いところ。あんたみたいなお人よしは直ぐ詐欺のカモにされるから気をつけなさい。」
と故郷の母の言葉を思い出し、一度は食いとどまった中島ですが、困っているのにこのまま見過ごせない
3万円はもっていないけど、アルバイトで少しずつ貯めた15000円はあるから、これを貸すことに決めました。
お兄さんには、もし返ってこなかった時は、学生がアルバイトで貯めたなけなしの15000円をだまし取ろうとする、それまでの人間で、そしてそれは勉強代だと思う旨
もし本当に困ってたなら返してくれた時に連絡先を交換して友達になろうという旨と僕の連絡先。
全てを伝え、託した僕の貯金がその後返ってくることはありませんでした。
勉強になりました
かくして無事だまし取られた中島の15000円と1万円ですが、今となっては安い勉強代だったと思うまでに至っております。
これ以降、怪しいな。と思ったものはちゃんと見極めてきております。
当初、エイチツーにお誘い頂いて鍼灸師をやめて、耐熱水中ポンプ屋になる!と言い出した中島を皆が止めましたが
中島、ちゃんと居場所を見極めました。
中島もとうとうWEBページを作成するまでに至りました。
今後とも何卒、エイチツーをよろしくお願い致します。