FROM;舛田
高温水を、ピットから地上へ吸い上げたい場合、
その流体の温度が非常に重要な問題となります。
例えば、
自吸能力が8mある自吸式のポンプでも、
95℃の温水を1mも吸い上げる事は出来ません。
「それはなぜ?」を解説しようとすると、専門用語の羅列(NPSHa、NPSHr、飽和蒸気圧など)になるので、ここでは省略し、
物凄い簡単な「吸うか吸わんか」の、ざっくりとした判断方法を解説します。
温度と自吸について
一般的なただの水で考えると、標準大気圧(10.33mAq)では、およそ100℃で沸騰します。
この状態ではいくらポンプが吸おうと頑張っても、空気(蒸気)ばかり吸う事になり、どのようなポンプでも自吸することが出来ません。
簡単に解説すると、ポンプは吸込み側に真空を作り出すことで自吸しますが、真空を作ろうと思っても100℃では空気ばかり発生させてしまう状態です。
それでは90℃の場合、80℃の場合はどうでしょうか?
もうすぐで沸騰する、という状態の為、あまり真空をかけて自吸することが出来にくいイメージが湧かないでしょうか?
簡単な指標
そこで、簡単な指標をご紹介します。
90℃:7.41m
80℃:4.97m
70℃:3.25m
60℃:2.06m
これは各々の温度での飽和蒸気圧です。
例えば
「ポンプの自吸能力が7mの場合、80℃の温水は自吸できるか?」
という場合、
7m-4.97m=2.07m
になりますので、自吸は可能です。
「ポンプの自吸能力が7mの場合、90℃の温水は自吸できるか?」
という場合、
7m-7.41=マイナス0.41m
になりますので、自吸は不可です。
これは単純な計算になりますので、配管の圧損(エルボなど)や流体の比重なども入れると高度な流体計算になりますので、あくまで目安としてお考えください。詳しくは弊社までご連絡頂ければ選定が可能です。
キャビテーションなど
高温水を吸うか/吸わんかについては上記で理論上計算可能ですが、
キャビテーションの発生によるポンプ故障など、自吸は何かとリスクがつきものです。
そんな時は「耐熱水中ポンプ」での移送はあらゆるリスクを軽減することが出来ます。
「ポンプを水中に沈める」ので、自吸する必要が無く、常に高温水が流れ込ので仮にキャビテーションが起きたとしても、
発生した泡はケーシングから逃げていく事が可能です。
是非、吸うか/吸わんかで迷った際は、「全く迷わない」耐熱水中ポンプのご検討をお勧めいたします。