FROM:浜條
眠れなくて夜が明けてしまった。
眠れない理由は二つある。
一つはポンプを納入した現場で、なかなか難しい、誰も想定していなかったトラブルが起きた事がずっと引っかかっている。
そして二つ目はダースベイダーの事だ。
息子が見ていたスター・ウォーズをチラ見してから、ずっとダースベイダーの事を考えている。
果たして、彼も寝るんだろうか?
数々の悪の所業を終えて
数々の悪の所業をし終えたダースベイダーは自室に戻る。恐らくデス・スターの中に、大理石の床と漆黒に塗られた壁紙にまとめられた、25畳ほどのダースベイダー専用の部屋があるのだろう。
一人になった瞬間、彼は何を思うのだろうか。
一瞬でも「あ~疲れた」などと思うのだろうか。
今日の悪事はちょっと骨が折れたな、なんて考えてため息をつくのだろうか。
ため息をついてもプシュー・プシューとしか言わないダースベイダー。
ため息をついて、やはりあの込み入った重そうな服を脱ぐんだろうか。
まずはマントをハンガーにかけ、手袋を取る。
あの鎧みたいなやつは実はワンプッシュで分解されるようになっていたりして。
ブーツは脱ぐのだろうか?
靴下は履いているのだろうか?
脱ぎながら、無能な部下の事や、それに板挟みになっている少し仕事の出来る部下の事を考えるのだろうか。
あるいはジュダイの頃の記憶を思い出すのだろうか。
あの頃の些細な情景を思い出し、クスっとでも笑うのだろうか。
そこから漏れる息はプシュー・プシューではあるけれど。
それとも体のすべてがサイボーグのようになっており、
眠る必要も、人間的な感情も無くしてしまったんだろうか。
でも私たちは知っている。
あのプシュー・プシューという息の微妙なニュアンスで、ダースベイダーは感情を表現していることを。
そんな事を考えて私はイビキをかきだした。
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